宅見組の本部事務所の解体工事が完了。宅見組売却騒動の一部始終(フライデー)

公開日: : ヤクザ・マフィア

遡ることおよそ50年――。

 

初代宅見組本部が大阪・ミナミの歓楽街に産声を上げたのは高度経済成長期真っただ中の1970年のこと。

 

その後、宅見組は瞬く間に名門への階段を駆け上がっていく。

 

特に初代宅見組の宅見勝組長(享年61歳)は五代目山口組の若頭を務める一方、不動産業を含む多くの事業を展開。

 

“経済ヤクザ”の筆頭を担った人物でもあった。

 

しかし、‘97年に新神戸オリエンタルホテルのティーラウンジで宅見組長が中野会系組員に射殺されると状況は一変。

 

白昼堂々の暗殺劇はその後、五代目山口組を揺るがす大きな抗争へと発展する。

 

そんな昭和・平成のヤクザ史を象徴する本部の売却話が浮上したのは3年ほど前であった。

 

「以前から関係者の間で『宅見組本部が買い手を探している』という話は出回っていた。

 

しかし、なかなか折り合いがつかず難航していた」(暴力団関係者)

 

ミナミの一等地にそびえる宅見組は地上4階建て、延べ床面積約320㎡を誇る。

 

相場でも5億円はくだらない物件の売却額は3億3000万円。

 

まさに破格と言える金額だが、この価格設定にはある理由があった。

 

地元の不動産関係者はこう話す。

 

「本部の売却作業には大阪府警も手を貸しており、価格も府警の許可が出たものとなっています。マネーゲームを避けるため、『価格は動かさないように』というお達しまで出していた。

 

また不要な利益供与に当たらないよう売却先についても府警の厳しい選定がありました」

 

加えて府警はこんな条件も盛り込んでいた。

 

「府警は購入しても本部は必ず解体し、更地にすることを条件の一つにしていました。

 

当初から中国系の企業が『物件を買いたい』と手を挙げていましたが、ずっと府警がハネていた。

 

外資は警察のグリップも聞かず、何をするか分からないというのがその理由。今年に入り、複数の日本の企業が本部購入に向け、水面下で交渉を進めていました」(同前)

 

大きな動きが起きたのは、今年4月に入ってからだった。

 

4月14日、大阪に本社を置くH社が宅見組の正式な購入者として登記上にその名を載せた。

 

買い手探しから約3年。

 

ようやく売却へとこぎつけた本部であったが、話はそう簡単に終わらない。

 

契約が成立した現在でも仲介者と購入者の間であるトラブルが発生しているという。

 

宅見組本部売却の仲介役を担った「高野山仏舎利塔販売沙羅企画」の久木原日出男氏はこう話す。

 

「私が(組事務所の)所有者の方から相談を受けたのは今年2月。

 

そこから仲介役として物件の買い主を探し始めました。が、手を挙げる人の多くは中国人。

 

本来、組事務所関連の不動産物件はたとえ買っても売り先に困る場合がありますが、中国の方は安価で購入できると認知し、衝動的に手を挙げる。

 

打診を受けた方の中には事務所の建物を利用して居酒屋を始めようとした中国人もいます。

 

ただ府警の要請では更地が絶対条件。建物は残さず、さらに身元がはっきりとした方への売却を提案されていた。

 

もちろん外国人がダメというわけではなく、適正納税者なら大丈夫です」

 

そんなやり取りの中でついに購入者がH社に絞られ、正式な売却手続きへと移行した。

 

久木原氏が安堵したのもつかの間、H社の裏にいる人物に言葉を失ったという。

 

「それがK氏です。彼は不動産業を営む傍ら、裏社会でも名が通った人物。

 

かねてから宅見組本部購入のオファーを出していましたが、私がコンプライアンス上の理由から拒否。

 

すると、別の買い主を立てて購入しようと画策し、それも拒絶しました。

 

そんな中で同じ宗教家である、今回購入したH社の方に売却を決めたのです」

 

ところがそのH社の裏にいたのがK氏だったのである。

 

関与が発覚した経緯をこう話す。

 

「H社の背後にいるのがK氏と知ったのは、契約後の今年6月のことでした。

 

見知らぬ人物が解体中の本部から勝手に椅子などを運び出していたので、うちの従業員が問い詰めると、『会長から頼まれた』と吐露。

 

この会長という呼び名にピンときたんです。

 

まさかと思いK氏を問い詰めると『わしの下僕のH社の代表を使った!』『俺が金を出した』と半ば開き直った形で関与を認めた。

 

後の調べで過去にK氏が息子の会社を使って二代目宅見組の土地屋敷の売却をしていたことが分かり、K氏もこれを認めています」

 

では、渦中のH社はなんと答えるか。

 

記者が代表の携帯に電話をかけると対面での取材を受けると返答があった。

 

後日、改めて疑惑をぶつけるとK氏の出資を認めた上でこう回答した。

 

「すでに出資金は返しています。今はKさんの手は離れて私がやっています。

 

Kさんとは十何年ぐらいの付き合いですね」

 

さらに久木原氏の主張にはこう反論する。

 

「宅見さんところからも『残置物を処理していいよ』という一筆もいただいてるので、その後、Kさんから『椅子を運んでいいか』っていうのが来たので『別に私のだからいいですよ』って言った。

 

それを久木原さんが『窃盗だ』と騒いだみたい。

 

窃盗にはならない。

 

所有者は私。

 

私がいいよって言った」

 

その一方、取材の最中ではK氏とのこんな約束をこぼした。

 

「(Kさんからは)『高値で売れた時はちょっとは俺にくれよ。苦労した分は少しくれよ』とは言われた。

 

私も『分かりました』と。

 

私も金主がいる訳だから、儲けさせないといかん。

 

私も儲からんといかん。

 

地元の不動産屋さんからは『坪500万円でどうですか?』って来てますよ。

 

安すぎて売りません。(購入にあたり)最初に手を挙げたのは中国の方だったが、流れたと聞いた。

 

手付け金は1000万円。

 

宅見さんのほうも拒絶したと聞いている。

 

府警四課も外資は後々何をするか分からないということで良しとしないと思う」

 

実際に本部の解体作業が始まったのは今年の5月末。

 

しかし、しばらくするとある怪情報が関係者の間を駆け巡った。

 

「6月に本部の地下から人骨が出てきたという話が界隈に出回りました。

 

情報を聞きつけた兵庫県警が現場確認をする騒ぎにまで発展しています」(前出・不動産関係者)

 

後にこの“人骨騒動”はガセと判明。H社の代表もこう語る。

 

「本部に2mサイズの武器庫があるとかあれは嘘。

 

YouTuberも『骨があった』とか言ってて風評被害です」

 

一筋縄ではいかない宅見組本部の解体作業だが、気になるのは今後の転売先である。

 

「本当は7月20日ぐらいまでに更地にする予定だったが、終わらなかった。

 

次の予定は8月上旬。

 

お盆までには作業は終わってると思う。

 

それからヨーイドン。

 

別に私は誰かを排除してるわけでもないし、平等に取り扱う。

 

私は宗教界に身を置く人間だから、人助けが好き。

 

前も歩けないような事務所がなくなるわけだから。

 

平和になればいいじゃない。

 

町が良くなることだけしか望んでない。そういう役目を授かったんだと思ってる」(同前)

 

かつて豊富な資金力を武器に一時代を築いた初代宅見組。

 

そのシンボルは時代のうねりの中で今、まさに消え去ろうとしている。

 

(フライデー)

https://news.yahoo.co.jp/articles/02a5e70ed7fc0c795937a682cc86e30576026bd0




関連記事

no image

住吉会系組員の柴田龍之介がホテルで女性を脅迫して現金を奪ったとして逮捕。

埼玉県警所沢署は25日、ホテルで女性を脅迫し現金を奪ったとして、韓国国籍で住吉会系組員の柴田龍之介こ

記事を読む

no image

全国のATMから18億円が引き出された事件で大和市のコンビニATMから1200万円を不正に引き出したとして藤沢市の通信機器販売会社社長の辻村賢司と横浜市戸塚区の佐久間宇宏を逮捕。

偽造カードを使って現金を盗んだとして、神奈川県警国際捜査課は11日、窃盗容疑で、通信機器販売会社社長

記事を読む

no image

足立区谷在家の住吉会領家一家高瀬会の事務所に住吉会幸平一家賢総業組員らが襲撃して車を突っ込ませる。

11日午後10時25分ごろ、東京都足立区谷在家2丁目で、「車が住宅の外壁にぶつかっている」と110番

記事を読む

no image

住吉会平塚一家幹部の高林千加男が大宮のカジノから収益の一部を受け取っていたとして逮捕。

埼玉県警大宮署は、さいたま市大宮区の繁華街で、カジノ店が客にバカラ賭博をさせて不正に得た収益の一部を

記事を読む

no image

稲川会幹部の薄井誠ら3人が神社の奉賛会会員の男性3人から80万円を脅し取ったとして逮捕(共同通信)

静岡県警熱海署などは11日までに、県東部にある神社の奉賛会会員の男性3人から現金計80万円を脅し取っ

記事を読む

no image

祇園のクラブ「フォーチュン」で金庫強盗事件が発生。

祇園のクラブ「フォーチュン」で金庫強盗事件が発生しました。   お店の女の子が

記事を読む

no image

男子高校生に覚醒剤を売り渡したとして稲川会系組員の山岸竜貴(27)を逮捕(TBS)

暴力団員の男が男子高校生に覚せい剤を売り渡したとして警視庁に逮捕されました。  

記事を読む

no image

道仁会幹部の辻健太ら3人が男性に手錠をかけて車内に監禁したとして逮捕(暴力団ニュース)

福岡県警は、金銭トラブルから男性に手錠をかけ車に監禁したとして、指定暴力団・道仁会系幹部の辻健太容疑

記事を読む

no image

稲川会箱屋一家組長銃撃事件で新たに稲川会大草一家幹部の高森和広を逮捕。

千葉県警松戸署捜査本部は21日、千葉県松戸市松戸の国道6号で昨年5月、稲川会六代目箱屋一家の中村豪組

記事を読む

no image

道仁会池田組組長の松隈達也と元妻の松隈真由美が佐賀県の支援金を騙し取ったとして逮捕(暴力団ニュース)

福岡県警は26日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、自主的に休業した飲食店に給付する佐賀県独自の

記事を読む







  • チャンネル登録はこちら

     

  • 神奈川県で教師をしていました。

    モデルや女優、レースクイーン、アイドルなど芸能界で働く女性、キャバクラや会員制ラウンジ、風俗、AVなど夜の仕事で働く女性、中高生、大学生、保育士、看護師、家出少女、児童養護施設の子どもたち、シングルマザー、ヤンキー、不登校生徒、外国人、帰国子女を中心に女性を幸せにするための国際NGOだいわピュアラブセーフティーネットをやっています。

    7000人以上の女性を幸せにしています。

    国際NGOだいわピュアラブセーフティネットは相談援助活動、心理カウンセリングなど女性のための総合ソーシャルワーク団体です。

    ジャーナリストです。

    24時間365日相談受付中。

    メール=fujio1121@yahoo.co.jp

    ライン=fujio1

    メディア出演・取材協力歴

    NHKスペシャル「女性の貧困」

    NHKクローズアップ現代「子どもはどこへ消えた」

    共同通信「U30のコンパス」

    米TIME誌「女性の貧困について」

    NHKスペシャル「若者失踪3万人」

    講演歴

    日本財団

    全国妊娠SOSネットワークさん

    支援企業

    英投資銀行バークレイズ