「何を削れば…」生活保護費引き下げの現実、ギリギリの生活の中で(MBSニュース)

公開日: : 政治, 教育, 社会, 福祉, 経営, 経済, 若者, 貧困

「何を削れば…」生活保護費引き下げの現実、ギリギリの生活の中で(MBSニュース)

 

「病気で働けない」、あるいは「受け取る年金が少ない」などの事情で“健康で文化的な生活”が送ることができない、そんなときに私たちの生活を支えてくれるのが「生活保護」の制度です。

 

その生活保護の基準が去年10月から引き下げられ、母子家庭世帯などに影響が広がっています。

 

去年12月末の大阪市。街が師走ムードで賑わう中、アパートの一室でひとり不安な気持ちで過ごす女性(74)の姿がありました。

 

「お正月は少しでも何かと思うんですけども、一切お正月の用意はせずに」(女性)

 

女性はカラオケの店を営んでいましたが、10年前に大病を患い開店休業状態に。

 

しばらく年金だけで暮らしていましたが立ち行かなくなり、6年前から生活保護を受けるようになりました。

 

生活保護は、国が定める「最低生活費」を収入が下回った場合に不足分を保護費として支給する仕組みです。

 

食費や光熱費などに充てる「生活扶助」や家賃などに充てる「住宅扶助」など8つの分野に分かれています。

 

74歳、ひとり暮らしのこの女性は保護費と年金合わせてひと月約11万4600円(住居費含む)で生活しています。

 

「食費の部分で、1日1000円というふうにしています」(女性)

 

1日の食費は1000円、贅沢な外食はできません。

 

料理にはひじきなど安い食材を活用します。

 

一度にたくさん作って冷凍保存し、数日に分けて食べます。

 

暗くなるまで電気は付けず、極力、暖房も使いません。

 

そんな切りつめた生活の中、去年10月に大阪市から通知が届きました。

 

「何のお知らせもなく突然文書だけでね、この書類だけで下がってくるんですよね」(女性)

 

それは減額された生活保護費の明細でした。

 

厚生労働省は5年に一度、「生活扶助費」の見直しを行っています。生活保護を受ける世帯と年収が下から10パーセントの世帯の消費を比べて同じ水準になるよう調整するのです。

 

その結果、今回は「生活扶助費」を平均1.8パーセント引き下げることを決定しました。

 

これにより、生活保護受給世帯の67%が引き下げ対象となり、女性は毎月1440円のマイナスとなりました。

 

「これ(貯金箱)を利用して、クリスマスケーキとちょっとお土産を」(女性)

 

女性の唯一の楽しみは100円玉貯金。

 

4人いる孫にプレゼントを贈るためのものですが、それも難しくなるとため息をつきます。

 

「1440円、普通一般の人から言えばねそれだけの金額ぐらいと思われるかもしれないですけど、年間にすれば大きなお金になりますし」(女性)

 

引き下げは、子育て世帯にさらに重くのしかかっていました。

 

大阪府内で中学生と小学生の2人を育てるシングルマザーのAさん(40代)は、借金を重ねる夫と離婚。朝から晩まで働き続ける毎日で、体調を崩してしまいました。

 

「本当に明日食べていくのが不安。1年後とか2年後とかそんな心配ではなくて、来月とか来週とかどうしようというところまで我が家は来ていましたので」(Aさん)

 

2年前から生活保護を受給し、ようやく生活の立て直しができるようになりました。

 

持ち家のAさんの場合、「生活扶助費」に「児童養育加算」「母子加算」「教育扶助費」とパート代金を合わせ家族3人で21万4800円が1か月の生活費になります。

 

育ち盛りの子ども2人を抱え、食費は約3万円、塾代や習い事など教育費に3万円ほど、自分のことはそっちのけで、出費のほとんどは子ども関係に費やします。ところが、今回の見直しでここから8450円減額されることになったのです。

 

これから長女の高校進学も控え、出費はかかる一方で…

 

「経済に左右されて、自分の道をあきらめたりだとか学ぶことをやめてしまったりというふうにはさせたくない。自分のできる限りのところはしていってあげたい」(Aさん)

 

Aさんは自分の食べる量を減らすなどして、食費を削るしかないと考えています。

 

「一番頭の中によぎるのは、またあの頃のしんどい生活に近づく、子どもを我慢させて自分もギリギリまで我慢して…。

 

なんだか生きるってしんどいなって思うんですね。

 

2人いる娘にもまだ(生活保護のことを)打ち明けられていない、これがね現状なんです、この制度の」(Aさん)

 

引き下げでは、子どもの教育にかかる「教育扶助費」の見直しもありました。

 

これまで「参考書代」と「部活動にかかる費用」として、毎月4450円(中学生 ※小学生は2630円)定額給付だったものが、部活動の費用のみの「実費」支給に変わったのです。参考書代は出なくなり、部活にかかる費用も立て替えてあとで申請する形に変わったのです。運動部に所属する中学生の母親(シングルマザーBさん)は…

 

「中学生にもなると足のサイズも大きくなるので、本当にすぐに(テーピングが)なくなってしまうんですね、試合のたびに。申請をしても、しばらく『検討します』ということでお返事が遅いので、なかなか2か月後みたいな感じになって、不安が大きくなってきた」(Bさん)

 

不安を抱える生活保護受給世帯の人たち。しかし、その影響は保護を受けている人だけにとどまらないと、専門家は指摘します。

 

「生活保護というのは、いろいろな制度の“ものさし”になっている。われわれの生活に密着したサービスの料金等に影響するおそれがある。(生活保護見直しで影響出るのは)国が言っているだけで、47制度ありますので」(花園大学・社会福祉学科 吉永純教授)

 

生活保護基準は、低所得者向けの税金や福祉サービスの負担額を決めるもとになっています。

 

これが引き下げられると、税金の減免制度や、給食費用や学用品代を支給する「就学援助制度」を受けられない世帯が出てくるおそれもあります。

 

「われわれ市民の生活の岩盤、岩みたいなもの。そこが堀り崩されるということは、ゆゆしき問題だと思う」(吉永純教授)

 

最後のセーフティネットといわれる「生活保護」。

 

その砦が揺らいでいます。

 

「ぜいたくはない。けれども心にゆとりの持てる保障をしていただきたいなと、切に思います」(74歳の女性)

 

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    NHKスペシャル「女性の貧困」

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    米TIME誌「女性の貧困について」

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