ルフィはこうして生まれた。山口組系五菱会から特殊詐欺へ(日刊ゲンダイ)
全国で相次ぎ発生し、今も捜査が続く連続強盗事件。
通称“ルフィ”こと渡辺優樹容疑者らのグループは、2018年から20年ごろまでフィリピンから日本への電話でオレオレ詐欺を働き、21年夏以降は「闇バイト」で集めた強盗グループを遠隔操作していた。
彼らが関与した強盗事件は50件以上、詐欺の被害総額は60億円超と言われている。
こうした一連の報道を見ながら、20年ほど前に摘発されたある事件を思い出した。
旧五菱会(現・山口組清水一家)系ヤミ金事件。
最盛期には1000店舗、年間収益1000億円ともいわれた巨大な犯罪組織が、警察により一網打尽にされた。
この五菱会系ヤミ金組織こそ、近年跋扈する特殊詐欺の「源流」と言えるものだ。
これは、私が一緒に仕事をしてきた多くのジャーナリストの一致した見解である。
もちろん、五菱会系ヤミ金と最近の特殊詐欺グループのやっていることは、まったく同じというわけではない。
20年前のヤミ金が獲物としていたのは、主として多重債務者だった。
特殊詐欺(そして最近の連続強盗)が狙う、資産を持つ高齢者とは対照的な属性だ。
こうしたターゲットの変遷過程は、連載の中でおいおい説明していくが、五菱会系のヤミ金が特殊詐欺の源流だと言える理由は、次の3つの要素──情報通信技術(IT)と個人情報、若者グループの組織力を活用した初めての例だと見ることができるからだ。
顧客の個人情報を簡単に共有できるように
特に、このヤミ金組織が注目されたのは、顧客の個人情報をコンピューター管理する「センター」と呼ばれる拠点を持っていたことである。
これを運営するための専属のシステムエンジニアもおり、年間数千万円の高給が支払われていた。
顧客の個人情報は、これ以前のヤミ金でも利用されていた。
ただ多くの場合、紙に印刷された名簿の束を見ながら、従業員が電話営業をしまくる形だった。
90年代にも複数の金融業者が特定の顧客に集中的に高利で貸し付ける「システム金融」という手法があったが、その主な通信手段はファクスだった。
五菱会ヤミ金が我が世の春を謳歌していた00年代初めと言えば、ちょうど「ITバブル」が起きていた頃だが、彼らはその流れに乗るようにデジタル技術を取り入れ、効率よく荒稼ぎしていたわけだ。
その後の技術発展により、ITの利用は格段に身近になり、生活は便利になった。
そしてそれは、犯罪者にとっても同様だったのだ。
以前、個人情報の収集はかなりアナログな方法で行われていて、管理できる総量にも限界があった。
また、ガラケーなどを通じて組織内で共有するのも簡単ではなかった。
ところが今では、ハッキングなどにより企業や行政から流出した何十万人、何百万人分もの情報が、小さな機器で簡単に管理できる。
それらはスマホやSNSを利用して犯罪組織内で共有されるのだ。
巨額の詐欺を働き、フィリピンから連続強盗犯を操っていた“ルフィ”こと渡辺優樹容疑者らのグループ。
彼らのような特殊詐欺集団の源流は、20年前に摘発された旧五菱会(現・山口組清水一家)系闇金融組織・通称「カジック」にあった。
組織名は五菱会ナンバー2だった梶山進のニックネームに由来する。
その共通の特徴は、ITを駆使し、獲物の個人情報を管理・共有する点にある。
カジック以前の闇金融も、主な獲物である多重債務者の個人情報を利用していた。
情報の出どころは、ほかならぬ同業者。
獲物から利益を吸い上げるだけ吸い上げたら、その情報を売ってもう一儲けしていたわけだ。
また、闇金融に個人情報を売る「名簿屋」というブローカーもいる。
十数年前、名簿屋が売る個人情報のペーパーを知人のジャーナリストが入手し、見せてもらったことがある。
そこには氏名・年齢・生年月日・職場などの基本情報のほか、家族構成や消費者金融の残債などが細かく記されていた。
名簿屋はこんな情報をどうやって集めたのか。
「消費者金融業者を装って『多重債務者OK!即日融資!』なんていう広告を雑誌に出すんです。すると、お金に困った人々からじゃんじゃん電話がかかってくる。そこで『審査に必要だから』と情報を引き出しておいて、あとはナシのつぶてというわけです」(くだんのジャーナリスト)
しかしこんなやり方だと、多重債務者などお金に困った人たちの情報しか集まらない。最近の特殊詐欺が好んで狙うのは、資産のある高齢者である。
ここでも名簿業者を通じ、高額商品の購入者リストなどの名簿が売られていた。
また、全国の警察は特殊詐欺捜査の現場で、「セレブデータ」「夢見る高齢者」「大手企業退職者」などといった名簿を押収している。
こうした情報の多くは、悪意ある当事者によって売り払われたり、ハッキングなどの手法で盗み出されたりしたものだ。
IT関連会社の元経営者らが逮捕
2012年、スマホから個人情報を外部に流出させるアプリを公開し、約1183万件もの情報を抜き取ったとして、IT関連会社の元経営者ら5人が警視庁に逮捕された。
この事件は摘発直前にパソコンを破壊し処分するなどの徹底した証拠隠滅が行われ、5人とも不起訴に終わった。そのため、情報が何に使われたかはわからないままだ。
ただ、私の周りの一部のジャーナリストは、この元経営者の名前に敏感に反応していた。
彼こそがカジックの元幹部であり、グループ内で個人情報の活用やバーチャル店舗の運営を発案して、犯罪収益の極大化に大きな役割を果たしたとされている人物だったからだ。
2003年11月21日、大阪府警は名古屋空港へ向かう公海上の民間航空機内で、フィリピンから強制送還された男性A氏を逮捕した。
当時27歳のA氏は、特殊詐欺の源流といわれる旧五菱会(現・山口組清水一家)系闇金組織「カジック」の幹部のひとりだった。
カジックは20~30代の若者を実動部隊にしていた。
一説に1000店舗といわれた「職場」では、求人広告を通じて採用された従業員が働き、東京ドームを借り切って店舗対抗の野球大会を開催したり、女子従業員をハワイやグアムへ海外旅行に行かせたりするなど、大企業も真っ青の福利厚生を実施していた。
A氏も、最初は一介の従業員に過ぎなかったが、携帯電話を活用した闇金の無店舗営業を発案して収益拡大に貢献。
数十店を束ねる幹部に出世したという。
その一方、グループの要職は暴力団組員や不良上がりの幹部が占め、巨大な組織を統率していた。
従業員の中には、彼らの後輩に当たる暴走族やカラーギャングの元メンバーもいた。
警察のカジック摘発がピークに達していた頃、2人の従業員に会って取材したことがある。
関東の元暴走族とギャング出身者で、いずれも20代初めだった。
末端の従業員に過ぎなかった彼らの話の中心は、六本木界隈を闊歩する「不良人脈」の先輩たちや、彼らの商売のことだった。
印象的だったのは、彼らが口をそろえて「ヤクザには絶対ならない」と言っていたことだ。
厳しい掟に縛られ、かつ高額の上納金を納めねばならない暴力団などばかばかしく、「もっと自由に金儲けをする方法はいくらでもある」と話した。
カジックは警察の摘発によって壊滅したが、こうして多種多様な若者を共犯として巻き込み、犯罪ノウハウを拡散させることになった。
カジックに関わった者たちの中に、自分の行いを悔い改めた者がいるかどうかは知らないが、逆のケースは確実に存在する。
前回、スマホから個人情報を盗み出すアプリを公開した会社経営者を、警視庁が2012年に逮捕した事件に言及した。その経営者こそが、冒頭で触れたA氏なのだ。
ITを使った大量の個人情報の悪用は、カジックからその後の特殊詐欺につながる重要な特徴のひとつだ。
一方、これに先立つ06年には「振り込め恐喝」の容疑で、カジックの幹部だった別の男が逮捕されている。
その手口は、「金融機関から依頼を受けて債権を回収している。
言うとおりに払わないと会社に行くぞ」などと脅して金銭を振り込ませる乱暴なものだった。
犯罪者らが「金融業」の体裁すらかなぐり捨て、特殊詐欺化していく萌芽を見るような話だ。
カジックは、その後に増殖する特殊詐欺のインキュベーター(保育器)になったのだ。
全国で起きている特殊詐欺の源流といわれる旧五菱会(現・山口組清水一家)系ヤミ金組織「カジック」は、2000年代初めに警察の摘発によって壊滅させられるまで、被害者から法定上限の数十~数百倍もの金利を取っていた。
犯罪収益は1000億円ともいわれ、被害者は少なくとも4万人以上、実際にはその数倍との見方もある。
当時、ヤミ金が増殖した背景には日本経済の減速があったといわれる。 「昔は一時的に資金繰りが厳しくても、金利の高い借金をして粘る中小企業が多かった。
ところが1991年のバブル崩壊に90年代末の金融危機が続いたことで、『無駄な抵抗』をせず廃業する経営者が増えた。
必然、事業者相手の街金融も商売に行き詰まり、ドロップアウトした面々が違法な高金利の小口金融に走った」(元街金融業者)
だが、そうして誕生したヤミ金の多くは小規模で、カジックの巨大さは例外中の例外だった。
ヤクザの組織力が生んだものだと見ることもできるが、「あれは本来、ヤクザのやり方ではない」と語る組幹部もいる。
カジックが被害者から受け取った額は1回当たり数万円だ。
万人単位の個人情報を管理しながら小口のカネを積み上げていくのは、実に膨大な作業だ。
一獲千金に走りがちだった旧来のヤクザには、向かないシノギだったということだ。
アウトローを取り巻く経済状況は1990年代から激変
だが実際のところ、「ヤクザなどいわゆる“アウトロー”を取り巻く経済状況は、1990年代から激変していた」と、あるジャーナリストが話す。
「バブルがはじけるまで、ヤクザや総会屋などのシノギは不動産や株などの猛烈な値上がりを利益の源にしたものが主だった。
典型的なのが地上げだ。
例えば時価5億円の土地があり、5年後には2倍になるのが確実だとする。
不動産業者は、1日でも早く開発した方が利益は大きい。しかし法的な手順を踏んでいては、住民の移転などに2~3年かかる。
そこでヤクザに1億円の手数料を払い、強引に地上げを進めたわけだ」
ところがバブル崩壊と、それに続く長期不況で、こんな「オイシイ話」は消えてなくなった。
カジックは、アウトローが経済環境の転換にいや応なく適応する中で生まれたものだということだ。
この時期に日本経済に起きていたのは、インフレからデフレへの転換だ。
物価が上がるインフレ期には土地などの資産を持っている方が有利だが、モノの値段が下がるデフレ期には現金の魅力が増す。
そして、インフレなど一度も体験したことのない若い世代のワルたちは、続々と特殊詐欺グループを結成し、「現金の在りか」を探し求めるようになるのだ。
(取材・文・写真=久田将義/編集者・日刊ゲンダイ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0d1c8acff0957155500fdac4466fee87345c86c7
夜の六本木
男性Aさんは五菱会の奥野博勝さんのことでした。
スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の電話帳に登録された個人情報を抜き取るアプリ(ソフト)がインターネットで配信された事件で、警視庁サイバー犯罪対策課は30日、IT関連会社の元経営者ら5人を不正指令電磁的記録供用容疑で逮捕した。
抜き取られた電話番号やメールアドレスなどの個人情報は約1180万件に上るという。
アプリを巡り、大規模な個人情報流出事件が立件されるのは初めて。
逮捕されたのはIT関連会社「アドマック」(東京)元会長、奥野博勝容疑者(36)=東京都港区赤坂4=、元社長、玉井裕理容疑者(28)=渋谷区松濤2=ら5人。
同課によると、奥野容疑者は「よく考えてから話す」と認否を留保。
玉井容疑者は「調査目的のアプリとは聞いていたが、犯罪に関わるものとは思わなかった」と容疑を否認している。
残る3人は容疑を認めている。
アドマックは出会い系サイトなどを運営していたとみられ、同課は奥野容疑者らが出会い系サイトへの勧誘などに個人情報を利用する目的で、スマホを誤作動させるアプリ型のウイルスをネット上に公開したとみている。
同課によると、奥野容疑者らは今年2~4月ごろ、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマホ用の専用サイト「グーグルプレー」上で人気ゲームなどのタイトルに「the Movie」などと付加した名前のアプリを約50種類作成し、ネット上で公開。
アプリを起動した約9万人のスマホを誤作動させ、アドレス帳に登録された個人情報を不正に取得していた。
アプリをダウンロードすると、起動後に個人情報が勝手に流出する仕組みになっていた。
アプリは4月12日までに削除されたが、アドレス帳から抜き取られたメールアドレス約600万件、電話番号やIDなど計約580万件が東京都内のレンタルサーバーに残っていた。
サーバーの接続記録から、情報は都内のIT関連会社など複数の会社に流出していた。
逮捕容疑は3月21日ごろ、「グーグルプレー」上にアプリ型のウイルスを複数公開。
4月6日、アプリをダウンロードした都内在住の女子大学生(20)のスマホから電話帳の個人情報を抜き取った疑い。
同庁は5月17日、アドマックなど数カ所を不正指令電磁的記録供用容疑で家宅捜索していた。
(日経新聞)
山口組系五菱会の黒幕は松浦大助さん、朝堂院さんでした。
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