1986年の山口組VS道仁会の山道抗争。
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最終更新日:2023/02/11
ヤクザ・マフィア
1986年の7月に四代目山口組VS道仁会の山道抗争が勃発しました。
「当時の山口組の状況」
1985年1月に四代目山口組組長の竹中正久や若頭の中山勝正が一和会に射殺されて、山健組の渡辺芳則が四代目代行に就いていました。
山口組は一和会との抗争の渦中でした。
「山道抗争の経緯」
熊本県人吉市にあった藤本組幹部の中神大海の弟の中神強が、日ごろから仲が悪かった藤本組若頭の楮木亨に酒の席で絡みました。
楮木亨は報復として中神強を刺殺しました。
中神大海は三代目山口組稲葉一家組長の稲葉実の舎弟となり、熊本県人吉市に稲葉一家中神組を結成しました。
1986年、楮木亨は出所後に道仁会古賀一家古賀徹の舎弟となり熊本県八代市に道仁会古賀一家楮木組を結成しました。
楮木亨は自分の故郷である人吉市にクラブを出しました。
これに対して人吉市を縄張りとしていた山口組稲葉一家中神組組長の中神大海が激怒しました。
中神大海は自分の子分の吉川茂男が道仁会古賀一家楮木組に移籍したこともメンツを潰されたと思っていました。
中神大海は弟の中神強が楮木亨に刺殺されたこともあり、楮木亨や吉川茂男を殺すと吹聴していました。
1986年7月29日、中神大海に殺される前にこちらから殺してしまおうと道仁会古賀一家楮木組の吉川茂男ら2人が中神大海を銃撃しました。
中神大海は一命はとりとめましたが瀕死の重傷を負いました。
道仁会古賀一家楮木組組長の楮木亨は人吉市に新しいクラブを出しました。
中神大海の息子の中神竜二は道仁会古賀一家楮木組組長の楮木亨に父親の中神大海が銃撃されて、叔父の中神強が刺殺されたことに強い恨みを持っていました。
中神大海の息子の中神竜二は不良仲間と共に道仁会古賀一家楮木組組長の楮木亨のクラブに乗り込み楮木亨を刺殺しました。
1986年12月10日福岡県飯塚市で山口組稲葉一家川井組組長の川井長治が道仁会松尾組組員に銃撃されました。
この事件により道仁会古賀一家と山口組稲葉一家の抗争から道仁会と山口組稲葉一家の抗争に拡大しました。
1986年12月11日山口組稲葉一家稲山会会長の山下純二と稲山会幹部が本部に詰めていたところに道仁会松尾組組員が襲撃して稲山会幹部が射殺されました。
道仁会の拠点である久留米や大牟田は、炭鉱や土建の失業者が多く地元経済も冷え込んでいたため、道仁会はシノギを求め、大中組を先兵として福岡市へ進出しました。
これに対し、福岡市を縄張りとしていた山口組系伊豆組は、道仁会系大中組の動きを警戒しました。
1986年12月16日、山口組系伊豆組が、道仁会系大中組誠心会組員を拉致し、道仁会の縄張りである久留米へ帰るように脅し、さらに誠心会事務所に乗り込み、誠心会組員を銃撃し重傷を負わせました。
これに対して道仁会も、すぐに伊豆組組員を襲撃しました。
この事件で、抗争は道仁会と山口組の抗争へと拡大しました。
1986年12月18日道仁会組員が伊豆組系伊豆一家の本部事務所の前にいた少年3人を組員と間違えて誤射しました。
少年1人が死亡、1人が負傷しました。
1986年12月18日道仁会前田一家組員が、熊本市内の病院に入院していた稲葉一家幹部・山野一郎と間違えて、隣のベッドに入院していた男性の見舞いにきた男性を誤射して射殺しました。
同年12月21日、福岡県大野城市内の病院に入院していた稲葉一家見城会幹部が見舞い客を装った道仁会系組員に銃撃されて重傷を負いました。
同年12月27日、道仁会組員が稲葉一家島村組事務所前で警戒中の警官を誤射して重傷を負わせました。
同年12月31日、道仁会組員が伊豆組系の露店事務所でアルバイトをしていた学生を誤射して負傷させました。
1987年1月1日、元旦早々に伊豆組系組員が道仁会系組事務所に発砲しました。
同年1月2日、福岡市内で道仁会組員が伊豆組組員を銃撃して伊豆組組員は重傷を負いました。
山口組伊豆組組員が福岡市の道仁会組員の愛人宅に発砲しました。
山口組伊豆組組員が道仁会関係者と親しい金融業者宅に発砲してテレビを見ていた中学2年生が負傷しました。
1987年1月18日、久留米のスーパー「マルショク久留米」で買い物中の道仁会松尾組菊地組組員が、スーパー「マルショク久留米」店内で伊豆組系幹部に襲撃されて射殺されました。
買い物客が多い夕方のスーパー店内での犯行で、警察は「抗争終結」の誓約は流れたと判断し組事務所を徹底的に強制捜査しました。
同年1月23日、道仁会本部事務所に手榴弾が投げ込まれました。
本部事務所に被害はありませんでしたが、道路のアスファルトが爆発で飛び散り、近隣の民家などが被害を受けました。
1987年2月11日、名古屋刑務所に服役していた道仁会会長・古賀磯次が久留米刑務所へ護送され、この時警察が「抗争終結宣言」を出すよう説得、古賀磯次はこれを受け入れました。
同年2月12日、久留米刑務所から出所した古賀磯次は、道仁会本部事務所に向かい、組員に「抗争終結」を伝えました。
同年2月14日、伊豆組組長の伊豆健児もあらためて抗争終結の誓約書を各警察に提出し、道仁会会長・古賀磯次も同じく抗争終結の誓約書を出し、稲葉一家も抗争終結に賛同しました。
これにより発砲事件77件、死者9人、重軽傷者16人の被害を出した「山道抗争」は終結しました。
同年3月3日、北九州市小倉で、仲裁人・工藤会会長・工藤玄治、奔走人・草野一家総長・草野高明と太州会会長・太田州春、立会人として九州・沖縄の親分衆が列席し、手打ち式が行われました。
「山道抗争の影響」
山道抗争では山口組の強さ、底力を見せつける形となりました。
道仁会も稲葉一家、伊豆組と五分にやりあったことから極道社会での評価を高めることになりました。
(参考:ヤクザ抗争史・山道抗争)
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