工藤会トップの野村悟総裁に死刑判決。ナンバー2の田上不美夫会長に無期懲役の判決(日経新聞)
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最終更新日:2023/06/20
ヤクザ・マフィア
市民襲撃4事件で殺人や組織犯罪処罰法違反(組織的殺人未遂)の罪に問われた特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)トップで総裁の野村悟被告(74)と、ナンバー2で会長の田上不美夫被告(65)の判決公判が24日、福岡地裁であった。
足立勉裁判長は求刑通り野村被告に死刑、田上被告に無期懲役を言い渡した。
両被告は一貫して無罪を主張していた。
判決は福岡県警が2014年から進めてきた「壊滅作戦」の行方を左右するだけでなく、今後の暴力団捜査に影響を与える可能性があり、司法判断の内容が注目されていた。
足立裁判長は、野村被告を1998年の元漁協組合長射殺事件の首謀者と認定。
さらに野村被告の指揮命令に基づき、2012年に元福岡県警警部を銃撃し、13年に看護師、14年に歯科医師を刃物で刺して殺害しようとしたと述べた。
公判は19年10月に始まり、21年3月まで計62回開かれた。
両被告の関与を示す直接的な証拠はなく、指揮命令の有無が最大の争点だった。
検察は関与を立証するため、検察側だけで延べ88人の証人尋問を行うなどして間接的な証拠を積み上げた。
工藤会は上意下達の厳格な組織性があるとし、4事件が計画的、組織的に行われた点を踏まえ、野村被告らを「首謀者」と位置づけた。
港湾事業に影響力があったとされる元組合長と、その孫の歯科医師を襲撃した背景には利権に介入したい両被告の思惑があったと説明。
元警部の銃撃は県警の捜査への不満などがあったからだとし、看護師の襲撃は野村被告が受けた下腹部手術を担当しており、対応に不満を抱いていたことが動機だと主張した。
弁護側は、検察が立証の軸に据えた主要証人の証言を「虚構か、歪曲された可能性が大きい」などと全否定。
「検察は独善的な推認に終始した」と反論していた。
田上被告が02年、今回と同じ容疑で逮捕され不起訴となった元組合長事件について「公訴権の乱用で、壊滅に追い込もうとする刑事政策的な判断で強引に起訴した」と批判した。
野村被告は工藤会の上納金を巡り約3億2千万円を脱税したとする所得税法違反罪にも問われ、最高裁が被告の上告棄却を決定。
懲役3年、罰金8千万円とした一、二審判決が確定している。
(西日本新聞)
特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)が関わったとされる一般市民襲撃4事件で、殺人と組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人未遂)などの罪に問われた会トップの総裁、野村悟被告(74)に、福岡地裁(足立勉裁判長)は24日、求刑通り死刑判決を言い渡した。
指定暴力団トップへの極刑適用は初めてとみられる。
直接証拠はなく、弁護側は全面的に無罪を主張したが、判決は、4事件全てで間接証拠から関与を認定できると判断。
市民社会を恐怖にさらした組織のトップに対し、極めて厳しい刑事責任を負わせた。
ナンバー2の会長、田上不美夫被告(65)は無期懲役とした。両被告の弁護側は控訴する方針。
4事件は1998年の元漁協組合長射殺(殺人)、2012年の元福岡県警警部銃撃、13年の看護師襲撃、14年の歯科医襲撃(いずれも組織犯罪処罰法違反)。
判決は、元組合長射殺について、工藤会の上意下達の組織性などから「実行役との共謀は優に認められる」とし、漁協関連の利権を巡るトラブルを背景に挙げた。
ほか3事件も「両被告が意思疎通した上で、野村被告が意思決定したと推認できる」とした。
その上で、野村被告が工藤会の組織力や指揮命令系統を利用し、田上被告も重要な役割を果たしたと指摘。
元組合長射殺を「暴力団による市民殺害という極めて悪質で残虐な犯行だ」としたほか、相次ぐ襲撃による体感治安悪化といった社会的影響にも言及し、野村被告の極刑はやむを得ないと結論付けた。
一方で、元警部銃撃が工藤会の力を示し経済的利益を獲得する目的だったとする検察側主張を退け、田上被告に求刑されていた罰金2千万円は科さなかった。
工藤会総裁、野村悟被告(74)は、判決言い渡し終了と同時に落ち着いた様子から一変。
「公正な判断をお願いしたんだけど」「あんた、生涯後悔するぞ」。
裁判長を突然威嚇し怒声を浴びせた。
午前10時ごろ、野村被告は一礼して入廷。
傍聴席を見つめながらゆっくりと歩を進め、弁護団前の長いすに座った。
裁判長は判決理由で、市民襲撃4事件への関与を次々と認定。
「極刑を回避する理由がない」と述べた場面では不満げな表情を浮かべた。
ともに審理され、無期懲役の判決が下った会長、田上不美夫被告(65)も退廷時、裁判長に「ひどいなあんた」と言い放った。
勾留期間が7年近い野村被告。関係者によると、体調面に変化はなく、判決前は「無罪で間違いない」と自信をのぞかせていた。
(日経新聞)
野村悟総裁(74)と田上不美夫会長(65)
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