東電OL殺人事件。「今」を楽しんで生きたコギャルと、「今」を我慢することで将来いいことがあると考えて生きた東電OL。

公開日: : 最終更新日:2017/04/20 ギャル, 女性, 恋愛, 書評, 東京, 社会, 若者

最近「東電OL殺人事件」についての本をいくつか読みました。

 

事件は、1997年に39歳の女性管理職が渋谷の円山町のホテル街で何者かに殺された事件です。

 

再審の結果、容疑者とされていたネパール人以外の犯人の可能性が浮上してきたという事件です。

 

OL事件と言われていますが、管理職ですね。

 

彼女は、1986年の男女雇用機会均等法が施行される前の79年に東電に総合職として入社しています。

 

このような例は雇均法前では非常に珍しいことだったようです。

 

彼女は、仕事が終わると、毎晩渋谷の円山町のホテル街で客を取っていました。

 

その時代背景として、彼女が中学、高校、大学と過ごした期間は、世間は女子学生に対して「少女」であることを求めていました。

 

学生時代の彼女もその期待にこたえた少女でした。

 

そのため、学生時代は青春を犠牲にしてでも勉強に精を出しました。

 

その後、慶応大を卒業後、総合職として東電に入社し、寝食を惜しんで働き管理職にまで上り詰めます。

 

そこまで行くには並大抵の努力ではなかったことでしょう。

 

しかし、39歳にして、上り詰めたキャリアだったが、ふと振り返ってみると、異性との恋愛などを犠牲にしてきたことへの後悔が溢れます。

 

しかも恋愛を犠牲にして上り詰めたキャリアも、出世コースから外れてしまう。

 

彼女は、忘れてきた青春を取り戻すべく、渋谷の円山町の路上に立ち客を取ったのだと思います。

 

金のために取っている多数の街娼とは全く違う理由で立っていたのです。

 

彼女は、客によっては、2000円で体を売ることもありました。

 

このことを社会学者の上野千鶴子さんは、「2000円というのは、その男が2000円の価値しかないと見下された男の値段だ」というようなことを書いていました。

 

しかし、たいてい、街娼との交渉において、街娼の方から、値段を決める権限はあまりありません。

 

男が提示した額に対して、街娼がそれでいいのか、ダメなのかを答えるのです。

 

したがって、2000円という額は、東電女性が見下してつけた額ではなく、東電女性がこの男性なら2000円で抱いてくれてもいいわという東電女性の男性への好意がこもった2000円なのだと思います。

 

この事件の後、東電女性と同じ総合職のキャリア女性多数が東電女性への共感を口にしていました。

 

学生時代に恋を捨てて勉強しキャリアになったが、男がいない寂しさへの共感だったのだと思います。

 

事件のあった1997年の渋谷は全盛期のコギャルたちで占拠されていました。

 

援助交際ブームとも重なって、渋谷のいたるところで客を取っていました。

 

彼氏もいるけど、援助交際もするというコギャルが多かったようです。

 

自分の男性から向けられる性的なまなざしをメタで自覚し、それを利用し積極的に性的アピールをしていったコギャル。

 

世の男性(若い奴からおやじまで)もその性に開放的なコギャルを大手を振って迎え入れました。

 

セックスアピールをすることで、「今」を楽しんで生きたコギャルと、「今」を我慢することで将来いいことがあると考えて生きてきた東電女性が渋谷の街に並んで立っていたかと考えると、東電女性は、時代の空気を感じ取って生きてきた女性の被害者の一人だったんではないかと思いました。
 

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